【3人のプロによる座談会】売れているクルマはいいクルマ? 軽自動車・コンパクトカー・プリウス編

日産ノートe-Power、トヨタプリウス、C-HR、ホンダフィット、N-BOXなどが売れに売れている2017年。果たして売れているクルマは本当にいいクルマなのか?カルモマガジン執筆陣による本音トーク満載の座談会を2回に分けてお届けしよう。前半は軽自動車・コンパクトカー・プリウス編だ。

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時代とともに「いいクルマ」は変わる

馬弓(以下M):今回は「売れているクルマはいいクルマ?」と題して座談会を開催することとなりました。カルモマガジン執筆陣のお二人よろしくお願いいたします。で、さっそくですがお二人が考える「いいクルマ」の条件とは何なのでしょう?

高山(以下T):時代によってユーザーのニーズは変わってきていると思うのです。80年代〜90年代半ばまではパワーと高級化の時代だったと思います。

M:ターボだ、280馬力だ、マークⅡだ、シーマだ、という時代でしたね。クルマも含めて何もかもが右肩上がりでした。アラフィフの我々にとっては原点の時代です。

T:90年代半ばからは多様なボディタイプの時代。ホンダオデッセイに端を発したミニバンが台頭して、軽自動車もハイトワゴンのスズキワゴンRが出てきて、従来のセダンやコンパクトカー以外に選択肢が増えました。

M:トヨタRAV4やホンダCR-Vなど、当時はRV(レクリエーショナルヴィークル)と呼んでいたSUVもこのころからですよね。最初のオデッセイなどのミニバンもそうでしたが、「持っていると楽しい暮らしをしてそうなクルマ」が増えました。

T:2000年代に入ると燃費が重視されてきたと思います。もちろん1997年にハイブリッド乗用車のトヨタプリウスの登場が作り出した流れなのですが、デフレ時代が長く続いたことや環境への意識の高まりも影響しているでしょう。

M:軽自動車やコンパクトカーの躍進もありましたよね。なんとなくクルマが趣味とか見えという人より、クルマは足と割り切った人が増えていった気がします。

現代の「いいクルマ」はエコと安全の両立が絶対条件

カルモマガジン執筆陣の一人、高山正寛(たかやませいかん)氏。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務めるだけでなく、カーナビやデジタルモノなど幅広いフィールドで活躍中

T:そして2000年代半ばから現在においては省エネルギーそしてエコに加えて高い安全性能が重視されている時代になったと思います。これは「ぶつからないクルマ」を広めたスバルの「アイサイト」の登場が大きいわけですが、日本の超高齢化社会もリンクしているのは間違いないです。すなわち、現在において「いいクルマ」の条件として省エネルギーそして高い安全性能という2つの柱をもっていなければ、我々としては「いいクルマ」になり得ないと言いたいです。

M: 「アイサイト」の破壊力はすごかったですよね。あの技術を「前車追従型オートクルーズ」の部分ではなく「ぶつからないブレーキ」として表現したのは控えめに言って「発明」でした。さて、業界の琵琶法師、高山さんにすべて言われてしまった気もしますが萩原さんはいかがでしょう。

萩原(以下H):同じ意見です。以前、安全装備は買い替える時の買取査定では何の評価がされませんでした。しかし、現在では安全装備がないと査定が下がる時代となっています。それだけ安全装備が重視されている証拠ですし、新車でも軽自動車ですらドンドン普及しています。やはりいまや「いいクルマ」の条件は安全装備抜きに語れないと思います。

カルモマガジンで数多くの記事を執筆する萩原文博(はぎはらふみひろ)氏。いま日本でもっとも多くの新車に乗っている評論家の一人だ

M:元走り屋の萩原さんまでそんなことをいう時代になったのですね。そういえばGT-Rだ、ロータリーだ、と言っていた萩原さんの愛車もいまやアイサイト付きのスバルXVハイブリッドでしたね。遠い目をしたくなります。 2017年の今日、「いいクルマ」とは「エコであると同時に安全装備の充実したクルマ」である、という定義でよろしいでしょうか?

H:もちろんベースとしてきちんと走る・曲がる・止まるができていることは条件ですけどね。

T:使い勝手や装備が良いクルマ、という点は付け加えさせていただきます。

カルモマガジン編集長の馬弓良輔(まゆみよしすけ)。旅行や自動車雑誌の編集長を歴任してきた51歳。趣味のスノーボードのために最近の愛車はSUVを乗り継いでいる

M:じゃあ自分は見た目と遠出に向いているクルマ、という個人的な趣向を織りまぜていいですか、編集長だし。

T、H:「・・・・」

コンパクトカーの新王者・日産ノートe-Powerはやはり実力あり!

昨年のマイナーチェンジのe-Power追加で販売台数トップへと躍り出た日産ノート。電気自動車のような運転感覚は他のハイブリッド車と一線を画す

M:では合意が取れたところで「売れているクルマ」の現状確認です。7月の軽自動車を除く新車の販売台数で見ると、1位日産ノート、2位トヨタプリウス、3位トヨタアクア、4位ホンダフィット、5位トヨタC-HR、6位トヨタヴォクシー、7位スバルインプレッサ、8位ホンダフリード、9位トヨタシエンタ、10位トヨタヴィッツとなっています。相変わらずコンパクトカーは強いですね。

H: 1位のノートはとにかく「e-Power」の効果が大きい。3位のアクア、4位のフィットは最近マイナーチェンジを行ったばかりでテコ入れされました。

現在、ノートの販売台数の7割を占めるe-Power。ハイブリッドに出遅れていた日産の救世主となった

T:現在ノートは7割がe-Powerですから。やはりあのモーターによるパワフルな走りは魅力だと思います。アクセルペダルだけで加減速できるのも使ってみると実に面白い。

M:電気自動車のような走りは新鮮ですよね。気になる実燃費はハイブリッドコンパクトカーの定番・アクアより良いですか?

T:私が高速200km、一般道200kmのインプレッションした時の実燃費は20km/Lくらいでした。ノートが採用しているタイプの「シリーズハイブリッド」は主要動力がモーターなので、本来大きなバッテリーを搭載したほうが有利になります。しかし、そうなると車両重量は重くなるし、価格も高くなる。ノートはちょうど良いバランスで燃費性能や価格を設定できたと思います。ちなみにアクアはマイナーチェンジで実燃費が向上しています。私が計測したところ22km/Lでしたので、それには敵わないもののノートe-Powerはまあ合格点でしょう。

H:ノートe-Powerは試乗すると、従来のクルマと異なる加速フィーリングで、「これは良い!」とお客さんは感じて購入するそうです。元々ノートはリアシートの居住性やトランクの広さなど同じクラスの中では広くて高い使い勝手を誇っていたのですが、凡庸な燃費性能もあってe-Powerが出るまでは見事に埋没していました。しかしe-Powerの追加によってノートの持っていたポテンシャルが注目されたということありますね。

M:ノートとフィットはコンパクトカーの中ではボディサイズが少し大きい「オキテ破り」のクルマですよね。グローバルを無視しているというか日本国内を重視しているというか。定評あるフィットと比べても室内やラゲッジルームは広いのですか?

このクラスのコンパクトカーとしては大柄なボディを持つノート。特にラゲッジルームの奥行きの余裕は家族4人の旅行にもうってつけだ

ノートがベンチマークし続けるホンダフィット。ラゲッジルームの余裕も十分ある。さらにシートアレンジの多彩さや収納の多さはノートをしのぐ

T:そのあたりはフィットとほぼ互角。だから本当はもっと評価されても良いクルマだったけれど、フィットのミニバン並みのシートアレンジやハイブリッドの採用と比べると武器になる部分が少なかった。そう考えると、e-Powerという武器を得たのは大きい。マイナーチェンジで入れたのはもったないくらい。本当はフルモデルチェンジで入れるぐらいのすごい技術。

M:ノートは出てきたときに正直スタイルがフィットの出来損ない、いや失礼、ちょっとシャープさに欠けるなと思ったのですが、現行型フィットが丸みを帯びたミニバンルック方向に行ったので、今となっては旧型フィットのようで良いかもしれません。いちおう褒めているつもりです。ちょうど話に出てきたのでライバル・フィットはいかがでしょう。

熟成されたホンダフィットも互角だ

登場時の度重なるリコールでイメージを悪くしてしまった現行フィットだが、マイナーチェンジを重ね熟成の域に達している

T:現行型のフィットは登場直後にリコールが続いて、マイナスからのスタートとなりました。しかし、先日のマイナーチェンジでこれから反転攻勢に出られる準備が整ったと思います。

H:フルモデルチェンジに匹敵するぐらい改良が加えられて、ボディ剛性や静粛性が向上しています。そして、ハイブリッドの制御もずいぶん変わっていました。走りも良くなっていますしホント静かです。ノートe-Powerも静粛性は高いと思いますが、改良されたフィットは互角の勝負だと思います。

プリウスの弟分として登場し、一世を風靡したアクア。先日大幅なマイナーチェンジを受けたものの、やや古さは隠せなくなってきたか

M:同じくマイナーチェンジをしたアクアはどうでしょう。

T:ボディ剛性の強化やサスペンションの見直しなどによって前期型とは同じクルマとは思えないほど進化しています。ただ、やはり安全装備面で厳しいですよね。

H:フィットが「ホンダセンシング」、ノートもそれに近い安全装備の充実を誇るのに、アクアの「トヨタセーフティセンスC」では正直不満です。これはヴィッツも同様。確かに走行安定性は向上していますが、燃費性能にふったハイブリッド車なので、信号待ちからの加速性能はかなり不満です。ノートe-Powerと乗り比べるとその違いに驚いてしまうのではないでしょうか。

M:そろそろ結論として、ノートは「いいクルマ」ですか。

T:e-Powerモデル限定で「いいクルマ」。ただ、グレードはメダリストとオーテックジャパンのモードプレミア、ニスモの3グレードを「いいクルマ」として認定したいです。メダリストは高級車からの乗り換えユーザーにも対応した高い静粛性。モードプレミアとニスモはボディ補強によって走行安定性と乗り心地の質感が高いからです。もちろん安全装備も問題ありません。

H:私もガソリン車を選ばなければ、ノートは良いクルマだと思います。レンタカーなどでe-Powerが多く出回っていますから、一度借りてドライブするとより良さがわかると思います。

M:ライバルのフィットとアクアも「いいクルマ」認定しますか?

H:フィットはこの前のマイナーチェンジで相当良くなっていますから「いいクルマ」だと思います。先進の運転支援システムホンダセンシングも設定されていますから。そういう点からするとアクアはちょっと時代遅れですね。シャシー自体も古いですし。安全装備もフィットと比べるとかなり遅れている感が強いです。トヨタは安全装備の面では「トヨタセーフティセンスC」ではなく上位の「トヨタセーフティセンスP」の採用を推進してほしいところですね。

隠れた実力車・スズキスイフトに注目!

欧州マーケットを意識した走りが好評のスズキスイフト。その骨太な走行性能は日本車離れしている

M:ベスト10には入っていませんが、コンパクトカーだとスズキスイフトやマツダデミオあたり、見るべきところはありますか?

T:デミオは販売がもう一回りしてしまったから。今度の年次改良でどれくらいやって来るのかでしょうね。しかし前回もずいぶんやっているし。ACC(前車追従型オートクルーズ)、Gベクタリング(マツダ独自の揺れない制御)とか。やれることはそれほどないほど熟成されています。ただし、スタイル重視だからフィットやノートと比べると室内も少し狭いし、シートアレンジももの足りない。コンパクトカーだけどノートやフィットとは別のジャンルのクルマです。いわゆるコンパクトカーとしては「いいクルマ」認定はしづらいですね。

クラス唯一のディーゼルエンジンや、広さよりも流麗さを重視したマツダデミオも個性が光る一台だ。こちらも完成度は高い

M:とはいえマツダのあのスタイル重視路線は貫いてほしいですね。一方、業界筋で評判の良いスイフトはどうですか?

T:この時点でガソリン、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、1Lターボ、スポーツとフルラインアップが用意できたことが素晴らしい。選択の幅が広いのがすごい。従来モデルのネガティブなポイントだったリアシートやトランクの狭さもかなり改善されています。

H:まぁ結局は何を求めるのかになってくると思います。デザインの好き嫌いはどうしようもないですが、やはり登場したてのスイフトは新シャシーを採用し、最新の安全装備も搭載しているとなると普通に乗れば、圧倒的にスイフトはいいと思います。

T:スイフトを推す理由は安くて、しっかりと走ること。個人的にスイフトハイブリッドはすごく欲しい。セーフティパッケージが標準だし、ナビだけ付ければ基本完結する。もっとスイフトは評価されていいクルマだと思います。

M:やはりスイフト絶賛ですね。これも「いいクルマ」認定しておきましょう。あ、忘れていました。10位ヴィッツはどうですか?

T:わざと忘れていたでしょ(笑)。現在でも10位に入る販売力はすごいです。

H:マイナーチェンジ後のヴィッツはレンタカーしか見たことがありません。

M:期待通りのあっさりコメント、ありがとうございます。

今度のプリウスは賛否両論

前年比4割減ながら販売台数上位に君臨し続けるプリウス。ただ現行型のフロントマスクは好き嫌いが分かれている

M:ではコンパクトカーの結論が出たところで、続いて7月が2位、上半期は堂々1位のトヨタプリウスはどうでしょう。このクルマの場合はカテゴライズが難しいですね。サイズ的には欧州Cセグメントですのでライバルはマツダアクセラやスバルインプレッサあたりですが、なんかしっくりこない。ハイブリッド専用ボディだからですかね、「プリウスクラス」と呼んでもいいくらい、唯一無二なクルマかもしれません。

T:現行型の販売台数の落ち込みはとりあえず購入が一回りしたからでしょう。前年比が4割も下がったのは仕方ないです。ただし燃費性能もトップランナーだし、個人的には良いクルマだと思いますが、あとはあのデザインを良しとするかどうか。

M:あのエクステリアデザインは賛否両論の否が多いみたいですね。個人的には後ろ姿は悪くないと思いますが、フロントデザインは・・・。

H:従来のプリウスはこれほど早く販売台数にブレーキが掛からなかったことを考えると、やはりデザインが受け入れられてないということは大きいと思います。現行型のプリウスはタクシーだけでなく、最近は教習車としても利用されています。販売台数にそれなりに法人ユースが含まれていることを考えると、今回のプリウスは販売不振と言われても仕方ないです。

プリウスらしさの中に新しさを求めたのはインテリアも同様。斬新な造形だが質感は物足りなさを感じる

T:私は外観以上にインテリアがキツイ。安っぽい感じがでているのが・・・。ただ燃費性能はやっぱりプリウスだけに抜群で、実燃費で24km/Lくらい走ります。ただしリチウムイオン電池搭載車(Sを除くFFモデルに搭載)ですけど。実燃費はニッケル水素とリチウムイオンは違いますね。電気の出し入れが早いリチウムのほうがいいと思います。

M:プリウスはあれだけ売れているモデルで、でも新しさを見せつづけなければならないから、デザインの部分は難しいですよね。

T:それは宿命ですね。でも走りの面では新しいプラットフォームを含めた「TNGA」という考えを採用し、パワートレインは改良版ですけど燃費性能も向上させています。

M:プリウスはこれまで遠乗りに耐えられないクルマといわれていましたが。

T:これまでは特に後席がひどかったのですが、だいぶ改善されていると思います。ただ、個人的には低く座らせるのが好きじゃない。理想はシート高が600mmぐらいないと乗降性とかはキツイ。それをスポーティな走りとかいわれても個人的には少し感覚が異なります。

H:パワートレインは旧型からの流用ですし。新採用したTNGAはまだ熟成が足らず、リアのマルチリンクサスペンションの動きが悪い。だから乗り心地もいまいち。そうなると3代目までなかった4WDを追加できたことぐらいしか評価できないですね。個人的には現行型のプリウスはPHVを買わないと意味がないと思います。プリウスって先進性というのが特徴の一つだと思うと、普通のハイブリッドはもう新鮮みがない。PHVは回生もいいし、モーターを使用した燃費性能で80km/Lも走る。プリウスが先進性を訴えるとするならば、PHVだけでも良いのではないかと思います。しかも重くなったからだと思いますが乗り心地もPHVは良くなっています。

見分けのつかなかった旧型と異なり今回のPHVモデルは大幅にデザインを変更して登場した。こちらのほうが万人受けするとの声も

M:しかしプリウスPHVはハイブリッドに比べて100万円高い。

T:PHVは良いクルマだと思うけど個人的に許せないのは4人乗りのこと

H:燃料電池車のミライとおなじようにプレミアムということで4人乗り。これはちょっと違うなと思いますね。マイナーチェンジで5人乗りが追加されるのではないでしょうか。

オリジナルと比べて100万円高となるプリウスPHV。ダッシュボードも異なるなど100万円分の付加価値を加えたが、リアシートの2人乗りはやりすぎか

T:100万円高いのに乗車定員が少ないのは致命的。価格が高い理由を見出せない。

M:プリウスPHVってそんなに街で見ませんが、売れているのでしょうか。

T:納車待ちもあるけど、これまでのプリウスに比べるとイマイチです。

M:とはいえ堂々の販売台数2位です。燃費も抜群です。安全装備も「トヨタセーフティセンスP」です。スタイルや内装センスは好みということで「いいクルマ」認定しても良いのではないでしょうか。そんなプリウスのライバルは一体何ですかね。

T:欧州のCセグメントと考えるとスバルインプレッサとアクセラだけどプリウスはやはりオンリーワンの存在だね。

H:PHVを出しているところを見るとVWゴルフやBMW2アクティブツアラーあたりがライバルなんじゃないですかね。

スバルインプレッサの躍進は「ハイブリッド専用車」の落日なのか

モデルチェンジ直後ということもあり好調な販売のスバルインプレッサ。新世代シャシーの走りが好評だ

M:プリウスとアクア。ハイブリッド専用車のメリットって何でしょうか。先ほど高山さんが言っていたプリウスの着座位置の問題は、高速燃費の向上を図るための過剰とも言える空力デザインによる部分が大きいですよね?

H:そのハイブリッド専用車という言葉が個人的にはもう時代遅れだと思います。だってヴィッツにも、オーリスにもハイブリッドがラインアップされてしまうと価値が薄れるというか、普通になってしまいますよね。そうなると専用車は燃費だけのクルマに見える。でも走りが退屈なハイブリッド車はユーザーに飽きられているのが正直なところでしょう。それがスバルインプレッサの売れている理由の一つです。いくらセダンのG4、SUVのXVを含んだ数字としても、ガソリンエンジンしかない現行型インプレッサがここまで伸びるのは、やはり運転の楽しさ、そして先進安全装備のアイサイトの効果が大きいと言えるでしょう。その意味でプリウスを「いいクルマ」とするならインプレッサも「いいクルマ」にしないと。

M:確かに。ではインプレッサも「いいクルマ」ということで。それにしても、いっときプリウスに乗ることが「意識が高い」ことの表れ、みたいな時代がありましたが、もうこれだけハイブリイド車が増えると、逆に専用車であることのマイナスが目立ってきたと。プリウスにはすいぶん時間を割きましたが、「絶対王者」もそろそろ曲がり角なのかもしれませんね。

T:実際ハイブリッドはカタログの数値ほどの燃費性能は実燃費では出ないから。その乖離の大きさに驚く人もいるだろし、全体的にクルマの燃費は良くなってきているので、少しの違いだったらもっと安全なクルマ。もっと運転の楽しいクルマというユーザーが増えているんじゃないかな。

軽自動車の良さを持つコンパクトカーがスズキソリオ

ワゴンRのコンパクトカー版として登場したソリオ。三菱デリカD:2とは兄弟車だ

M:続いてはコンパクトハイトワゴンを見てみましょう。軽自動車の延長に見えてしまう、ということで売れていなかったのですが、最近になって各メーカーが力を入れてきました。

T:このクラスの価値は5人乗れて、便利なスライドドアがあるということに尽きると思います。ルーミーやタンクが売れているのはトヨタの販売力であることは、4兄弟であるダイハツトールやスバルジャスティの販売台数と比べれば一目瞭然。しかし個人的に買うなら4兄弟ではなくスズキソリオと三菱デリカD:2の2兄弟です。ソリオはこのカテゴリーのパイオニアですし、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドもある。そしてステレオカメラ方式の先進安全装備がありますから。

トヨタルーミー&タンク、スバルジャスティもベースとなっているのはダイハツのトールだ

H:4兄弟のベースとなっているのはダイハツのトールです。ダイハツが開発の主導権を握っていたからルーミーやタンクに装備されている安全装備「スマアシII」の機能は「トヨタセーフティセンスC」を上回っています。トヨタが上のクルマを見ながら作ったら、クルマの性能の底上げにならなかったでしょう。

T:軽自動車のほうが安全装備やホスピタリティに力を注いでいるからね。軽自動車の良いところが、このクラスのクルマには反映されていますね。

M:結論としてトール4兄弟とソリオ2兄弟、どうですか?

T:燃費の面で4兄弟はおすすめしにくいですね。スズキソリオと三菱デリカD:2は「いいクルマ」だと思います。

いまはN-BOXが「ぶっちぎり」、スズキの低燃費技術は台風の目

爆発的なヒットとなった初代N-BOXの2代目である現行N-BOX、発売1ヶ月で5万台以上の受注を記録し、これまたヒット街道をまっしぐら。こちらは標準モデル

スーパーハイトワゴンモデルに男性ユーザーを引き込んだN-BOXカスタム。特にターボモデルの走りは完全に軽自動車の基準を塗り替えた

M:ちょうど話がでたので、ホンダN-BOXの強さが目立つ軽自動車はいかがでしょうか。

H:もう今のところ、ホンダN-BOXがぶっちぎりじゃないですか。やはり「ホンダセンシング」の装着は大きいです。

T:個人的には今、軽自動車を人に勧めるなら、ホンダN-BOX、スズキワゴンRのターボ車、スズキハスラ−、スズキアルトターボRSの4台かな。まぁ自分が欲しいクルマということですけど。新型N-BOXはもう走行性能や静粛性、安全性能は軽自動車のクオリティではない。ただし、ターボエンジンのN-BOXカスタムの話だけど。

H:N-BOXを買うならターボ車がオススメですね。クルマのしっかり感が全然違います。ただ街乗り中心というのならば自然吸気車でもいいですけど。購入した後の満足度はターボ車のほうが高くなると思います。

元祖・ハイトワゴンのスズキワゴンR。現行型は大幅にスタイルを変えてきた

可愛らしいスタイルでスマッシュヒットとなったスズキハスラー。依然その人気は高い

軽自動車でも安い価格を誇るアルトだが、RSの走りの良さは評価が高い

T:スズキは燃費面で「エネチャージ」や「Sエネチャージ」、「マイルドハイブリッド」などのいわゆる“飛び道具”をいくつも用意している点。他のメーカーの追従を許さない。しかも先進安全装備も充実している。ハスラーは登場してから時間は経っているけど商品力は全然見劣りしていないのがスゴイと思います。

ワゴンRとともに軽自動車マーケットを牽引して来たムーヴ。特に男性向けモデル「カスタム」を広めたのはムーヴだ。N-BOXモデルチェンジの間隙を縫って7月は届け出台数一位に

M:水を差すようですが7月の軽自動車届け出台数はダイハツムーヴが1位でした。

T:これはマイナーチェンジの効果でしょうね。もうムーヴやワゴンRといったハイトワゴン系は厳しいです。大は小を兼ねるではないですが、やはりN-B0Xやタント、スペーシア、デイズルークスといったスーパーハイトワゴンが主流となるのではないでしょうか。

H:幅広い年齢層の人が乗る軽自動車だからこそ、安全装備にはこだわりたいです。そうなると先進安全装備を装着していないモデルはなかなかオススメしづらいですよね。ホンダもN-BOXはホンダセンシングが付いていますけどほかの車種はそうじゃない。そうなると積極的にすすめられないのが本音です。軽自動車ではまもなくフルモデルチェンジされますけど、スペーシアはスーパーハイトワゴンでトップの燃費性能を誇っていますし、安全性能を搭載していますから、新型に期待したいです。

M:そうなると軽自動車の「いいクルマ」は圧倒的なN-BOXに加えて、ワゴンRのターボ、ハスラー、アルトターボRSのスズキ勢ということですかね。

「小さめのクルマ」はスズキの善戦が目立つ

というわけで今回の座談会の前半戦、軽自動車、コンパクトカー、コンパクトハイトワゴン、プリウスの各クラスで「いいクルマ」をまとめると以下の通りとなりました。スズキの善戦が目立ちます。

軽自動車クラス:ホンダN-BOX、スズキワゴンR、スズキハスラー、スズキアルト

 コンパクトカークラス:日産ノート、ホンダフィット、スズキスイフト

コンパクトハイトワゴンクラス:スズキソリオ・三菱デリカD:2

プリウスクラス:トヨタプリウス、スバルインプレッサ

次回後半はミニバン、SUVクラスをお届けします!ご期待ください。

馬弓 良輔

この記事の執筆者

馬弓 良輔(まゆみ よしすけ)

旅行やクルマ雑誌の編集長を歴任し、2017年8月からカルモマガジン編集長を務める。クルマは見た目が5割、走り味が4割、あとの1割は「運命の出会い」というのが自身のクルマ選びのモットー。走り屋ではないが長距離ドライブを好み、最近の愛車はSUVを乗り継いでいる。が、しかし他にも隠し持っているクルマがあるとかないとか・・・。

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